天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

男はチキュの身体を軽々と抱え上げた。



そのまま歩き出そうとする。





その瞬間、何かが足首を掴んだ。


意表を突かれ、男は視線を落とす。




半ば気を失って倒れ伏していたはずの、セカイだった。



血に染まった身体を地面に這いつくばらせ、それでも懸命に手を伸ばして、男の足首をきつく掴んでいる。





男は、溜息を吐いた。





「全く、本当にしつこい奴らだ………」





男の声に冷酷な苛立ちを感じ取ったチキュは、もがいてセカイを止めようとする。





「セカイ! 危ない!!


やめろ!!


もういいって………!」





セカイは、赤みを帯びた紫炎の瞳を、真っ直ぐに男に向けている。






「………ねぇ。



チキュを、連れてくの?」