天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「セカイー、何みてんの?」



チキュは呑気な声でセカイに話しかける。



「………」



予想はしていたが、反応はない。



(……だめだこりゃ)



チキュは誰にともなく両手を挙げた。




窓からふわりと風が舞い込み、セカイの髪が風に踊った。



(………セカイの髪、柔らかそうだなぁ……)




陽の光が当たると、セカイの薄い栗色の髪は、金色に輝くように見える。



それは、少し伏せられた睫毛も同じで、きらきらと煌めきを放っている。



(……睫毛ながいなぁ)




紫の瞳も、白い光を受けて明るく透き通り、思わず吸い込まれてしまいそうになる。



(きれいだなぁ……)



と何の気なしにチキュは思った。




思わず腕を伸ばし、細く柔らかい絹糸の髪を手に取る。




「……なぁに?」



気付いたセカイが振り向く。



「……な、セカイ」



チキュは、厨房のウチューに聞こえないように小声で訊ねる。



「久しぶりに、お前の髪で遊んでいい?」




「……うん。どうぞ」と言ってセカイはチキュに背中を向けた。