天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

チキュの背後に立った古傷の男が、首根を掴んで立たせる。




「時間がないんだ。


………その男には可哀想なことをしたが、とにかく急ぐぞ」





チキュは漆黒の瞳を燃え立たせて、男に視線を向けた。




「………なんで、ウチューを傷つけた?


オレは、あんたたちについて行くと言っただろ!?」




男は疲れたように首を振った。




「我々も、必要以上に攻撃するつもりはなかった。


しかし、性懲りも無く歯向かってきたのだから、仕方がなかろう」




チキュは唇をきつく噛み締めた。



血の味が滲んだが、そうしないと悲鳴が堪えられそうになかった。




「………わかったよ、行けばいいんだろ。


行くよ! どこにだって行く!



だから、………二人をこれ以上………」





あとは、嗚咽に紛れて聞き取れなかった。