天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「………もう、いやだよ………」





チキュの大きな瞳が、じわりと潤む。





「………ウチューのそんな姿、見たくないよ………。



二人が傷つけられるの、オレ、見たくない………。



もういいよーーー」




セカイが小さく呻き、傷ついた上半身を起こそうともがく。



その動きに合わせて、セカイの身体からさらに血が噴き出した。





血塗れになったセカイとウチューを見ながら、チキュは静かに涙を流す。



頬を染めたセカイの深紅の血と、透明の涙が、混じり合って伝う。




そして、一度俯いた後、毅然と顔を上げた。



古傷の男に、無感情な目を向ける。





「ーーーオレが、黙ってあんたについていけばいいんだろ?」





男はにんまりと笑った。





「………そうだよ。


話が早くて助かる。


我々は、あなたを連れ帰るまでは、国に戻れないのだ」





チキュが男に向かってふらりと歩き出した。