天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

しかし怯えかけた心を奮い立たせて、気丈にも反論する。




「…………投降ってなんだよ!


オレは何も悪いことなんかしてないし、負けたつもりなんかないぞ!」




セカイが慌てて「しっ!」とチキュの口を塞いだ。




「チキュは何も言わないでいいから」




と柔らかい声音で諭した。




チキュは「………へーい」と残念そうに頷いた。





古傷の男がさらに一歩近づいてくる。



ウチューはそれに合わせて後退り、両腕を拡げて、自分の長身に二人を隠した。



そうしながら、小声でセカイに訊ねる。




「………この男が、この前チキュを連れて行こうとした奴か?」




セカイは小さく首を横に振った。




「違う。この前の男は、もっと若くて品があった」



「そうか………」




チキュは言いつけを守って、押し黙っている。