天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

開いた扉の向こうから顔を出したのは、隣家の少女、カエナである。



「こんにちは〜っ。

ウチューさん、チキュ、セカイ。


お母さんに言われて、お裾分け持って来たの」



そう言って、持っていた籠を差し出す。


中には、山盛りになった焼き立てのパンが入っていた。



「あっ!!

カエナの母ちゃんのパンだ!!


これ美味いんだよな〜、やったぁ!」



チキュが跳び上がって喜ぶ。


ウチューも席を立ち、チキュの隣に並んで籠の中を覗き込んだ。



「おぉ、本当だ。

いい香りだなぁ。


いつもありがとうな、カエナちゃん。

お母さんにもよろしく言っといてくれ」



チキュも、「うんうん、ありがとう!」と頷く。



カエナは「どういたしまして」と笑った。



遅れ馳せながらセカイもやって来て、「ありがとう」と頭を下げた。