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チキュは現状を把握できないまま、ウチューとセカイに言われるがままに動いた。
とりあえず町を離れて、外れにある小さな農家に身を寄せることにした。
素朴で親切な農夫一家は、雨に打たれた上に荷物も失くしてしまった哀れな旅人たちだと思ったらしい。
粗末ながら清潔な寝床と、暖かい食事を用意してくれた。
雨に冷え切った身体が温まり、人心地ついてから、寝床を敷いてもらった部屋で三人は向かい合う。
「………とりあえず、今日の話を聞かせてくれ」
ウチューがまず口を開いた。
チキュがそれに答える。
「ウチューの買い物について行こうと思って、宿を出て二人で町を歩いてた。
そしたら急に変な男が出てきて、オレとセカイの胸を触った」
淡々とした声で簡潔に語るチキュの話の内容に、ウチューはぴくりと眉を上げた。
「………それ、どんな男だった?」
「へ? そうだなぁ………。
背が高くて、顔はしゅっとしてる感じ」
「髪や瞳の色は?」
「あぁ、そういや、オレと同じような黒髪に黒い瞳だったよ」



