天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

それでも、明らかにチキュの走る速度が落ちてきた。




足の筋肉が限界を迎えている上に、雨に濡れた路面に足を取られ、何度も躓きそうにふらついている。



セカイは「しょうがないなぁ」と呟いて足を止め、チキュの腕を強く引いた。



足に力が入らないので、チキュはふらりとよろめく。




その身体をセカイが胸で受け止め、背中と膝裏に腕を当てて支え、抱え上げた。






チキュはびっくりして言葉も出ない。




しかし、これ以上走れそうにもないので、黙ってされるがままに抱かれた。





セカイは何も言わずに再び走り出す。







チキュはその首に腕を回して、雨の滴を吸って濡れた栗色の髪に頬を寄せていた。