天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

男は呆れたような顔でチキュの挙動を眺めていたが、「ま、いいか」と呟いた。




「自覚の有無は、この際たいして重要じゃないもんな…………」




そして、またも不意にチキュに顔を近づける。



チキュが驚いて後退る寸前に、男の手がぐいと二の腕を掴んだ。




「………いてぇよ」




逞しい腕にきつく絡め取られ、離れることも叶わず、チキュは黙って男を軽く睨みつけた。





端整な男の顔は、眼尻が少し垂れているのもあり、近くで見ると思いのほか甘い印象だった。




一つひとつのパーツがくっきりと際立っており、派手な顔だなぁとチキュは思う。




その深い闇色の瞳が、チキュの大きな双眸を捉えた。