天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

ウチューは「はぁ〜っ」と溜息を吐いた。



「……仕方ないな。

よし、じゃあ、歴史書の【天国】の章を音読しろ。

上手にできたら許してしんぜよう」


「げっ、まじで!?

オレ音読苦手なのに…」



チキュは唇を尖らせながら、渋々とページをめくった。



「えーと? あ、ここか。



【天国】には、〈天の一族〉と呼ばれる人種が住んでいる。

一族の頂点に立つのは、天皇を中心とした《皇族》たちと、……

て、てん、てん、てんきじん…?」



さっそく音読が途切れてしまったので、ウチューが怒りを抑えつつ助言をする。



「あまつあてびと、と読むんだろ!?」


「へえっ、そうなんだ。初耳だ。

変な読み方だなあ」



チキュは目を真ん丸に瞠って感心した。



隣でセカイが「昨日ちゃんと教えてもらったのに……」と小さく突っ込んだが、もちろん無視である。