天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「うう、ごめんなさい…。

だってだって、人種とか民族とか、小難しい熟語聞くと眠くなるんだよぅ」



はたかれた頭を摩りながらチキュが情けない顔で言い訳をするが、「だってじゃない! それにどこが小難しいんだ!!」とウチューはさらに憤慨した。



「もういい!

言い訳はいいから、はい、次の問題。

出血大サービスの超簡単なやつだぞ?


〈天の一族〉についてな。

支配階級の人々は何と呼ばれているか? 」



それを聞き、チキュは驚いたように目を見開いた。



「えぇっ、そんな難問!?


〈天の一族〉のことなんて、分かるわけないじゃんっ!

会ったことも見たこともねぇし!!


てか、本当にいるのか!?」



ウチューは呆れ返って首を振る。



「難問なんかじゃありません!

ただの常識問題です、よく考えて!」



「えぇー、常識!?

ウチュー、オレに常識ってあると思う…? 」



「…そうだな。

常識があったら、せっかく勉強教えてもらってるのに居眠りしたりしないな」




チキュは「てへへ」とごまかし笑いをした。