タツノはしばらく眉を上げたままキムロを見下ろしていたが、答えは返ってこない。



それを見て取ると、タツノは唐突に、ぱちん、と指を鳴らした。





「ああ、そうか。

何年前のことまで知っているのか、ってことか。


………そうだなぁ、十五、六年前、ってとこかなあ」




タツノが頬に指をつきながら、わざとらしく可愛い仕草をしてみせた。



しかしその視線はキムロに厳しく向けられたままだ。



キムロは目を背けて、ふぅ、と溜息を吐いた。




「………よくもまあ、そんな昔のことまでお調べになられましたね………」




「ははっ。俺を誰だと思っている?

あのムラノの息子だぞ。


情報収集と悪巧みに関しては、血筋のお墨付きだろ」




タツノはにんまりと笑って顎を上げた。