天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether









タツノは父の私室を出ると、すぐに父の家臣の男を追った。



行き先はだいたい見当がついていた。





黒衣の後姿に追い付き、足音を潜めて近づく。






ーーーぽん、ぽん。




肩に手を置いた。




家臣の男はびくりと肩を震わせて振り返った。





「あっ。タツノ様………」




タツノはにやりと笑った。




「よう、キムロ。


羽衣持って、どこに行くんだ?」




にやにやと意地の悪い笑みを浮かべながら訊ねる。




「いえ、ちょっと、………あの、気晴らしに………」




目線を泳がせながらの下手な言い訳に、タツノは苦笑する。




「そうかぁ。

あのヒステリックな父上に付いていたら、鬱憤も溜まるってもんだよなぁ」




「いえっ、そういうわけでは!」




慌てて弁明しようとするキムロに同情の表情を投げかけながら、ゆっくりと顔を寄せていく。