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タツノは父の私室を出ると、すぐに父の家臣の男を追った。
行き先はだいたい見当がついていた。
黒衣の後姿に追い付き、足音を潜めて近づく。
ーーーぽん、ぽん。
肩に手を置いた。
家臣の男はびくりと肩を震わせて振り返った。
「あっ。タツノ様………」
タツノはにやりと笑った。
「よう、キムロ。
羽衣持って、どこに行くんだ?」
にやにやと意地の悪い笑みを浮かべながら訊ねる。
「いえ、ちょっと、………あの、気晴らしに………」
目線を泳がせながらの下手な言い訳に、タツノは苦笑する。
「そうかぁ。
あのヒステリックな父上に付いていたら、鬱憤も溜まるってもんだよなぁ」
「いえっ、そういうわけでは!」
慌てて弁明しようとするキムロに同情の表情を投げかけながら、ゆっくりと顔を寄せていく。



