天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「じゃ、〈地の一族〉の中には、主にどんな《民族》がいる? 」



「………」



またもや黙秘権を行使するチキュのせいで、再びセカイが答える羽目になる。




「……えぇと。


もちろん《平原の民》と。

あとは《山の民》、《森の民》、《海の民》……、《河の民》、あと《砂漠の民》もいるよね」



「よし! よく憶えてたな。

お前は優秀な生徒だなぁ。

先生うれしいぞ」




そう言ってウチューは満足気に笑う。



「よし、じゃ次の問題、チキュ!」




しかし、チキュは教科書の上に頭を垂れたまま、微動だにしない。





ウチューはぴくりと眉を上げた。



「……チキュ、お前、まさか寝てるんじゃないだろうな?」



ウチューが怒りを含んだ低い声でわなわなと肩を震わせながら言う。



その声音に、チキュは慌ててぱっと顔を上げた。



「えっ! な、なに!?

オレもうお腹いっぱいだよ!?」



「………」



「………」



「………え?」




ウチューとセカイの冷ややかな視線を感じ、チキュは蒼ざめる。




「……お前寝てただろ!! 絶っ対!!

そして食べ物の夢見てただろ!!」



ウチューは、チキュの頭を思い切りはたいた。