天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「ええ………そうでしょうね。

躾など、して頂いた覚えが毛頭ありませんから」




遠慮なく嫌味を吐く。




「………俺が躾を受けるべき時期に、貴方はずっと悪巧みに精を出しておられましたからね」




ムラノは不愉快そうに眉を上げた。




「躾は、父親の仕事ではない。


母親と乳母と侍女たちの仕事だろう?」




事も無げに言い放つ父親を半眼で見下し、タツノは口論を諦めた。





「………本題に入りましょうか。


先ほどの話、本当なんでしょうね」





ムラノがぴくりと眉を震わせる。


その反応をじっくりと観察しながら、タツノは追い打ちをかける。




「貴方が長年お捜しになっている『エーテル』と思しき者が、とうとう見つかった、という話ですよ」




ムラノは何も答えない。




「………黙秘は肯定、ということでよろしいでしょうか」




タツノは満足気に、にやりと笑んだ。