天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

彼ら三人は、これまで各地を旅しながら生きてきた。



ウチューは一つ所に留まるのがあまり好きではないらしく、ある土地にしばらく住むと、ある日突然旅立ちを宣言するのだ。


そして、新天地を探して彷徨い、良い土地を見つけるとそこに住み着く、ということの繰り返しだった。



そんな生活の中、チキュとセカイはもちろん学校などに通うことはできない。


彼らにちゃんとした教養を身につけさせようと、ウチューは自ら教科書を調達してきて、様々な科目を自分で教えているのだ。




さあ気を取り直して、とウチューは自分を励ます。



「昨日はな、世界の成り立ちを勉強しただろ?」


「うん」


「………」



セカイはこくりと頷いたが、チキュはやはりぴんと来ないらしい。



「ま、やったら思い出すだろ。

さて、この世界に存在する二つの〈人種〉は? 」



チキュが黙っているので、セカイが応える。



「………えと。天と地の一族」



ウチューは大きく首を縦に振った。



「そうそう。

この【地国】に住む我々〈地の一族〉と、【天国】に住まう〈天の一族〉だな」