天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

その時、クオンが首を巡らし、慇懃な笑みを浮かべるミチハの上にひたと視線を止めた。





沈着な双眸に見つめられ、ミチハは思わず口を噤む。




その墨色の瞳には、歪んだ笑みを貼り付けたミチハ自身が映っていた。




「………それで、あなたのお話とは、つまり?」



クオンは揺るぎない瞳でミチハを直視する。



「ソガノの姫ではなく、同じ血族である自分の娘を、我が妃とするように、ということですね」



クオンの淡々とした言葉に、ミチハは黙って頷いた。



しかしすぐに、気圧されるわけにはいかないと気を取り直した。




「その通りです、クオン様。


我が娘サダハは、ムラノの娘ハツノよりもずっと美貌にも健康にも恵まれ、聡明な女子でございます。

親の贔屓目を除いても、皇太子の妃たる器でございます。


必ずやお気に召して頂けるものと………」