天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「………どこからそのような話が流れたのかはわかりませんが。


それをあなたにお教えする必要はないかと思います」




クオンは慎重に言葉を選びながら答えた。



ミチハは右の口角だけ上げる皮肉な笑みを作った。




「………まあ、そう仰言ると思っておりました。

それで、私なりに推測してみたんですがね………。



まず、ムラノ参議はソガノ家の首長として、その起死回生を必死で画策していることでしょう。


なにせ、ソガノは今、我々フジハ家に完敗の状況ですからね」





ミチハは謁見の間を緩慢な速度で歩き回りながら、自説を吹聴する。



クオンは表情を変えることなく、中央に真っ直ぐ佇んでいた。




ミチハはその様子をちらりと一瞥し、さらに続ける。




「そして、ソガノの再起のためにはどうすればよいか?


………その理想的な手本が、身近にある。



フジハ家だ。特に、我が敬愛すべき父、カネハの採った策だ。


つまり、………皇室との姻戚関係を強固にし、他家を排斥して政治を思いのままに操ることだ」