天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

(………やはりな。

そんなところだろうと思っていた)




とクオンは独り合点する。


そもそも、いくら祖母の兄弟とはいえ、その兄の太政大臣タカハとはクオン達が幼い頃から交流が深かったのに対し、弟の中納言ミチハとは殆ど関わり合ったことがなかった。



それが、突如としてこのような直接の会見をわざわざ請願してきたということは。



何か良からぬ謀を腹に隠し持って来たに違いない。






ーーー皇太子になって初めて気がついたのだが、この天宮にはどうやら、信じられないほど多くの権謀術数の類いが渦巻いているらしい。





(………こんな汚い世界、ミカゲやアスカには絶対に知らせたくないな)とつくづく思う。



色々と気苦労の多い立場にあって、クオンは、あの純真無垢な二人の笑顔を見て救われている部分が大きかった。


天宮に蠢く暗い欲望によって、ミカゲの清廉さ、アスカの無邪気さを決して汚したくはない。