天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether









クオンは、約束の時刻ちょうどに謁見の間に入った。




そこには、手癖のように顎を弄るミチハが待っていた。




立派な顎髭と堂々たる体躯。


皇族一の長身と言われているクオンと並んでも、引け目をとらない。





「………おお、皇太子殿下。

わざわざ御足労を頂き、光栄の至りでございます」




恭しい態度で大仰に膝をつき拝礼する。



クオンも慇懃に返した。




「ミチハ殿、頭を上げてください。

我が祖母の弟君である貴方に跪かれるなど、こちらの気が引けてしまいます」



「何を仰いますやら、皇太子殿下」




ミチハは大袈裟な笑い声を上げた。




「創世神の御子孫であらせられる貴方様に比べれば、私めなど、ただの天の民でございます」





表面的な動作と言葉だけは謙っているが、態度は非常に悠然としている。