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家の扉を開けると、すぐに食堂になっている。
三人の生活スペースは、食堂の奥にある厨房の、さらに奥だ。
食堂には、小さなカウンターと四人掛けの食卓テーブルセットが二つ。
大きな窓があり陽光が存分に入ってくるので、照明をつけなくても昼の食堂は明るい。
テーブルの一つに座り、歴史書を広げた三人は、さっそく勉強を始めた。
「よし、じゃあ昨日の復習からだな」
ウチューがにやりと笑って言うと、チキュが思い切り顔を顰めた。
「やべぇ、昨日の記憶まったくない……」
「おいおい、チキュ。
しっかりしてくれよ。
せっかく俺が毎日貴重な時間を割いて教えてやってるってのに!」
「だって〜、オレの記憶力はそれが限界なんだよ〜」
悲愴感の漂う声音でチキュが言うので、ウチューは遠慮なく盛大な溜息を吐く。
そして、何気なくセカイの方へ顔を向けると。



