天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

小さな身体を夜具に埋れさせて、ミカゲは苦し気な寝息を洩らしていた。



長い髪が、乱れるように寝台に拡がっている。





クオンは音を立てないようにそっと長椅子に腰を下ろした。





「ーーーうぅ、……ん………」



ミカゲが微かな呻き声を上げて、寝返りを打つ。



白銀の髪がさらさらと音を鳴らして、華奢な身体の上を滑った。




高熱のために頭が痛むのだろう、細い腕を気怠げに上げ、額に手を当てる。



再び小さく呻き、身体に被せられていた夜着を押し退けた。






見兼ねたクオンは立ち上がり、寝台の傍らに座った。



まず夜着を掛け直す。


次に、小さな額に載せられていた濡れ布を手に取った。


案の定、熱で温くなってしまっている。



近くにあった手水鉢の水に浸して絞り、熱で真っ赤になって汗ばんだ顔を、丁寧に拭いてやった。




なるべく刺戟を少なくしたつもりだったが、ミカゲが目を覚ましてしまった。



血の色の透けた赤い双眸が、クオンの顔をじっと見つめている。