天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

クオンは公務を慌ただしく終えると、ミカゲの部屋へ向かった。




扉の前に立ち、手の甲で軽く叩く。



すぐに、隣の間に控えていたらしいミカゲ付きの女官が顔を出した。





「まぁ、時宮さま。

光宮さまに会いにいらっしゃったんですか。


お忙しいでしょうに、相変わらずお優しいですわね」





クオンたちの物心がついた頃からずっと仕えている、皇家の侍女のソメコである。



打ち解けた様子でクオンを招き入れた。




「ミカゲの具合はどうだ」




部屋の中に足を踏み入れながら、クオンが小声で訊ねる。




「………ええ、やはりお熱が高くて。


お薬をお飲ませしたんですけど、まだ下がりませんの」



「そうか………」



「お熱のせいで、なかなかお眠りにもなれないようです」




クオンは小さく頷き、寝台へと足を向ける。



ソメコは軽く頭を下げて、気を利かせて扉の外へ退出した。