天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

それから、すこし歩を速めてトーキ爺の家に着いた二人は、さっそくウチューに報告をした。




「………ほんとにさぁ、変な奴だったよ!


いかにも怪しげな全身黒づくめでさ。

どこかに古傷はないかとか。

二人とも男かとか。


意味わかんねぇ!!


春ってすごいな、あんな変人を生み出すなんて」



「まぁ、気持ち悪いわね。

ニコも気をつけなさいよ。

一人でふらふらしちゃ、だめよ」




タキは心配そうにニコの頭を撫でた。



ニコも「まぁ、とりあえず無事でよかったわね」と頷いている。



ウチューは、チキュの話を聞きながら、心なしか青い顔をしていた。



それを、セカイとトーキ爺はじっと見つめている。




チキュが席を外した後、セカイはウチューに向き直った。



「ねぇ、………ギンガ。

僕たちが会った黒い男、何か心当たりはないの?」



じっとウチューの目を直視する。



「………いや、わからないな」



ウチューは静かに否定した。


トーキ爺も眉間に皺を寄せながら、言う。



「なぁ、ギンガよ。憶えてるか?


俺は昨日、言ったな。

うちに置いてほしければ、何かあったら必ず言え、と」



「ええ。憶えています。


………でも今日のことは、何でもないですから」



「本当か?

さっきのお前さんの顔は、どう見たって、何でもないなんてもんじゃなかったぞ」




トーキ爺が鋭く見つめるが、ウチューはやはり首を横に振るだけだった。