「………あ」
チキュの頭を撫でていた手を不意に止めたセカイが、小さく呟く。
「ん?」
チキュはセカイの顔を見た。
セカイは目許を緩め、ほっそりとした指先でチキュの真っ直ぐな黒髪に絡まっていたものを摘みあげた。
「なに?」
チキュが訊ねる。
じっと指先を見ていたセカイは、かすかに口許を微笑ませて、小首を傾げた。
そして、摘まんだものが見えるように、チキュの顔の前に持ってくる。
「花びら」
薄い桃色の花弁だ。
「あ、マルマの花びらだ」
チキュは両眉を上げて覗き込む。
「きれいな色」
「どっかから飛んで来たんだな」
「うん」
爽やかな風が、ゆるやかに吹いていた。
「春だな」
「うん、春だね」
二人はわくわくしたように顔を見合わせ、にこりと笑いあった。
「蝶々と花びらだ。似合うな」
「うん。籠に入れてあげよ」
チキュはセカイの指から花びらを掬いあげて、蝶の入った籠にひらりと落とした。
チキュの頭を撫でていた手を不意に止めたセカイが、小さく呟く。
「ん?」
チキュはセカイの顔を見た。
セカイは目許を緩め、ほっそりとした指先でチキュの真っ直ぐな黒髪に絡まっていたものを摘みあげた。
「なに?」
チキュが訊ねる。
じっと指先を見ていたセカイは、かすかに口許を微笑ませて、小首を傾げた。
そして、摘まんだものが見えるように、チキュの顔の前に持ってくる。
「花びら」
薄い桃色の花弁だ。
「あ、マルマの花びらだ」
チキュは両眉を上げて覗き込む。
「きれいな色」
「どっかから飛んで来たんだな」
「うん」
爽やかな風が、ゆるやかに吹いていた。
「春だな」
「うん、春だね」
二人はわくわくしたように顔を見合わせ、にこりと笑いあった。
「蝶々と花びらだ。似合うな」
「うん。籠に入れてあげよ」
チキュはセカイの指から花びらを掬いあげて、蝶の入った籠にひらりと落とした。



