天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

チキュは、片手でさり気なく首飾りの位置を軽く直しながら、少々警戒して尋ねた。




「………なんで。


そんなこと聞くんすか?」




セカイも、思わず長衣の袖に隠れた腕に手を当てた。



男は注意深く二人の様子を窺っている。




「………いえ。

ちょっと気になって聞いただけなんです。


………あの、お二人とも、男性ですよね」




またもや脈絡のないことを尋ねられて、セカイが眉根を寄せた。



「………ねぇ」



声を低くして、訊ねる。



「………さっきから、なぁに?

あなた、なんで、そんなこと聞くの。


見て分かるでしょ?

僕たちは二人とも男だよ」




チキュも同意するように小さく呻いた。




「えぇ、そうですよね。

すみません、訳の分からないことを聞いてしまって………。



ちょっと人探しをしておりましてね。

お時間とらせて、すみませんでした」




黒づくめの男は軽く会釈をし、踵を返して立ち去って行った。