天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

ずぶ濡れのまま、二人はのんびり歩いた。



温かい風が時おり吹き、湿った服を乾かしてくれる。




セカイの髪が風にふわふわと揺れ、チキュの頬を掠った。


チキュの髪もさらさらと靡く。





「なんか、こうやってのんびり二人で歩くの、久しぶりだなぁ」



チキュが空を見上げて言う。



河の方に顔を向け、さざめき光る水面を見ていたセカイも、こくりと頷いた。





チキュは唐突にセカイの手を握り、ぷらぷらと振った。





「………なぁに、急に」




セカイが少し微笑んで言う。




「別になんでもないけどさ。

久々に手、繋ぎたくなって」




チキュは照れ臭そうにそっぽを向いた。




「懐かしいね。

小さい頃は、いっつも手繋いで歩いてた」




セカイはちょっと目を細める。




「そうだなぁ。

そうだったな。


………なんか、幸せだなぁ。


ずっとこんな風だったら、いいな」




何気なく祈るように、チキュが呟く。




「きっと、ずっとそうだよ」




セカイも、ゆっくりと顔を仰向け、抜けるように青い空へ、祈るように呟いた。