天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

水上市場で売られるのはそういった特産物だけでもない。


それらを使って作られた衣服や、調理され食事なども提供されるのだ。




珍しい食事が多く、チキュはわくわくしながら、近くの食堂舟に並べられている料理皿を物色する。



気になるものがあるとウチューにねだっては胃袋に詰め込んでいった。




「はぁ〜、満腹、満腹っ!

さすがにもう食えねぇな」




チキュが膨らんだ腹をぱんぱんと叩くので、ニコは呆れて言った。




「朝ごはん終えたばっかりだってのに、よくそんなに食べられるわねぇ。

信じらんないわ」



「何とでも言え!!

寝る子は育つって格言があるんだぞ!」



「ものは言いようねぇ」





言い合う二人を見ながら、トーキ爺は「ずいぶん仲良くなったもんだなぁ」としみじみ呟く。



そして、ウチューに向き合った。




「………なぁ、ギンガよ。

いつまでもうちにいてくれたっていいんだぞ。


ニコも懐いてることだし、大家族のほうが楽しいからな」




ウチューは静かに微笑んで「ありがとうございます」と言った。



そして、小さな声で付け加える。





「………本当に、いつまでもいられたらいいんですけどね………」





しかしその言葉は、朝市の喧騒に掻き消され、誰の耳にも届くことはなかった。