天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

セカイの手には、大きな、緑色の植物の葉が載っており、その葉の上には香辛料で炒めた豆と麺が盛られている。




「なにそれ、お前いつの間に!?


オレに隠れて美味そうなもん食いやがってー!

めっちゃいいにおいするし!」




チキュに責められ、セカイは顔を上げる。



ただ、まだ口の中に麺が残っているので、答えることができない。



もぐもぐと口を動かし、やっと飲み下してから言う。




「………よく分からないけど。

さっきすれ違った舟のおばさんがくれた。

自慢の麺料理なんだって」




「なんだよお前………。

また、ただで貰っちゃったのかよ」




チキュが唇を尖らせた。



ニコは「さすがね、セカイさん!」と言って拍手をする。




セカイは、その儚げな容姿とぼうっとした所が母性本能をくすぐるのか、妙齢の女性にやけに人気があるのだ。



それで、食べ物やら飲み物やら、時には衣料品まで、いつの間にかどこからか貰ってくることが多かった。





「セカイばっかり、いつもずるいなぁ。

ちぇ〜っ」




チキュがそう言いながら横目で見ているので、さすがのセカイもチキュの思惑に気が付いた。




「………あ、チキュも食べる?

ちょっと辛いけど」



「食べる食べる!!」




出歩くといつも何かしらの施しを受けるセカイを、毎回「ずるいずるい」と言って不満がっているチキュだが。



分け前を頂いた今は、「あっ、柑橘が効いてて美味い!」と満足そうだ。




全く現金な奴である。