天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

朝市に近づくと、やはりかなりの数の舟が押し合いへし合い集まってくるので、周囲の舟とごつごつぶつかりながら進むことになる。




その度にチキュは「おっ」だの「うわっ」だのとやかましい。



ニコもその度に「ほんとうるさいわねぇ」と呆れる。




セカイはぼうっと、揺れる水面を見つめている。





「おー、懐かしいなぁ、この風景」



ウチューは目を細めて周りを見渡す。



「だろ? 前にアイラルに来たのはもう十六年以上も昔だもんなぁ」



「そうですね、その分、トーキ爺も老けましたね」



「そりゃあなぁ。

ギンガだって、あの頃は青っ洟垂らしたガキだったな」



「ははは、まだ二十歳にもなってなかったですしねぇ」



「あの時も、突然うちにやって来たんだったな。

しばらく置いてください、なんて言って、な。


なかなか遠慮の無いガキだと驚いたよ」



「若気の至りですよ。

あ、チキュには言わないでくださいね。

あいつにはいつも、もっと遠慮しろって叱ってるので」



「はぁ、しかしそのガキだったお前が、いきなりちっこいガキ二人も連れて訪ねて来たんだから、昨日は驚いたぞー」



「すみませんでした、ほんとに突然。

あの二人も面倒みていただいて」



「ま、いいんだよ、久々の客でタキもニコも喜んでるしな」