天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「おい、もうすぐだぞ」



トーキ爺が指し示した方向に視線を向けると、遠目にも、たくさんの舟、人、品物で賑わっているのが見て取れた。



耳を澄ませると、がやがやとした話し声や舟のぶつかり合う音などが、風に乗って聞こえてくる。




「おーっ、盛り上がってんなぁ」




チキュが嬉しそうに言い、舳先に両手を付いて身を乗り出した。



その拍子に、定員オーバー気味の小さな舟がふわりと揺れた。




「うぉっ」


「わっ、急に立つな!!」


「………びっくりしたぁ」


「ちょっと! 危ないじゃない!!

転覆したらどうしてくれるのよ!」




一同が驚きの声をあげ、ニコがチキュの尻を叩く。




「あ、ごめんごめん。

あんまり楽しそうだからつい…」



「もー、あなたほんとに16歳?

市場なんか見ただけでテンションあがっちゃって、まるっきり子どもじゃないの」




三つも歳下のニコに説教され、チキュは「すんませーん」と言ってすごすごと腰を下ろした。