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翌日、早朝。
まだ外は青白く、夜の気配を少し漂わせている。
一行は早々に朝食を終え、朝市へ出かけるトーキ爺について行く用意を始めた。
「ねっ、ねっ、おじいちゃん!!
あたしも行っていいでしょ!?
お願い、お願い!!」
舟を出す準備をしているトーキ爺の周りを、くるくるとニコが走り回る。
「だーめーだ、定員オーバーだ!!」
「大丈夫よぅ、あたし軽いもん!
それに、積荷をひとつ減らせばいい話じゃないの!
ねっ、一生のお願いよ!」
トーキ爺はニコの顔も見ずに断固拒否しているが、そんなことはお構いなしに食い下がる。
「お前なぁ、普段はなーんにも手伝わないくせに!
たまには『おじいちゃん、商売のお手伝いしよっか』とでも言って舟に乗って来るような奴だったら、俺だってお願いを聞いてやろうと思うけどなぁ。
こんな時だけお願いお願い言ったって、通用するわけないだろ!」
トーキ爺に怒鳴られて、ニコは唇を思い切り尖らせた。
「なによー、おじいちゃんの意地悪っ!
可愛い孫のお願いも聞いてくれないなんて!
いつか後悔したって知らないわよ!」
ニコはあっかんべーをしながら「いーだ」と負け惜しみを言うが、トーキ爺はそれで絆されるようなタマではない。



