「揚羽蝶だ。

きれいだなぁ。


この黄色、まるで夕陽みたいだ!

それに、こっちの青は、ほら、今日の空の色!!」



ゆらゆらと動く揚羽蝶の翅をじっくりと観察しながら言う。




「なっ、セカイ。すごいだろ?

やっぱりオレの罠でもちゃんと捕れるじゃねぇか。

さすがオレだな!」




「………」



にこにこと嬉しそうに話しかけるチキュに気づいていないのか、ぼんやりと樹の枝葉を見上げているのが、セカイだ。




細く整った栗色の眉と、少し気怠げに半分ほど下ろされた薄い瞼。


その下には、濃い紫色の大きな瞳があり、見るものに強い印象を残す。



ゆるく波打った、色素の少ない金色がかった栗色の髪は細く、柔らかそうだ。


髪は腰まで伸びており、それをふわりと背中あたりで束ねている。



ゆったりと身に纏っているのは、柔らかな素材の布地で作られた裾の長いローブである。




独特な雰囲気の少年だ。






「おいっ、セカイ! 聞いてんのか!?」



「………え? ……なぁに?」



チキュの漆黒の瞳に睨まれているのにやっと気付き、セカイはゆっくりと振り向いた。