天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether








チキュとセカイが身を寄せ合って眠りに就いた後。


ウチューは果実酒を荷物から取り出し、瓶のまま飲みはじめた。




傍らに落ちていたチキュの落書きを何気なく見つめる。


先ほど一生懸命考えていた、チキュの《もう一つの名前》だ。



シモン、マイル、アラン、ラッキー、ハッピー、ターン、サンテグ=ジュペリ、イブサ=ローラン、etc。



よくもまあこんなに思いついたもんだと感心してしまう。


後半は捻り出した感が甚だしいが。




それにしても、とウチューは先ほどの会話を思い出す。




(ーーー本当の名前、もう一つの名前、か………)





「………はぁ〜………」



思わず、大きな溜息が出てしまう。



二人を起こさなかったかと、慌てて振り向いた。



しかし二人ともぐっすり眠っている。




自由奔放かつ傍若無人なチキュと、究極のマイペース精神の持ち主のセカイだが、やはり慣れない環境に疲れていたのだろう。




チキュは相変わらず掛け物を蹴り出し、腹が丸出しだ。



しかも、伸びやかな片脚がセカイの腹部に思い切り載っている。




セカイが苦しそうに顔を顰めているので、ウチューは見兼ねて、苦笑しながからチキュの脚を退けてやった。





ついでに布団も掛け直し、再び腰を落ち着けて酒を口に含む。