天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「うん。名前は確かに大事だよ。


でも、僕思うんだけどね。


………本当の名前かどうかなんて、どうでもいいんだよ」




セカイの柔らかな声には、不思議な力があった。



チキュは黙って紫の瞳を見つめ、その言葉に耳を傾ける。




「僕たちが、ウチュー、と呼んできたのはね。


目の前にいる、この人。


物心ついた時からずぅっと一緒にいる人。

僕たちを育てて守ってきてくれたこの人。


ウチューが他の人からどんな名前で呼ばれていたとしても、僕らにとっては、ウチューという名前で認識される実在の個体だというのは、何も変わらないじゃない」




突然、認識だとか個体だとか、難解な単語が出てきたので、チキュは思い切り眉根を寄せた。




「う、うーん、わかるようなわからないような………」