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夕食が始まった。
たっぷりと香草を使った川魚の塩焼き。
小麦粉と豆粉を混ぜ炒ったものに水を加えて捏ねて焼いたラパ。
根野菜の甘辛い煮物だ。
アイラル河流域の、伝統的な家庭料理である。
「ごめんなさいね、折角のお客様にこんな粗食しかお出しできなくて………」
タキが申し訳なさそうに言うが、ウチューは首を横に振る。
「そんなこと仰らないで下さい。
こちらこそ、連絡もなしに突然押しかけたんですから………。
俺たちは寝床を貸して頂けるだけでも助かるんです。
どうか、お気遣いなく………」
そんな大人たちの会話を尻目に、チキュは早速ラパを口に運んだ。
「〜〜〜うまっ!! 」
立ち上がって、大声で叫ぶ。
「うまいぞっ!!
セカイ、食ってみろ!!
めちゃめちゃ香ばしい!!
そして塩加減が絶妙だ!!
それに、なんでこんなにもっちりしてるんだ!?
タキさん、天才だな!!」
焼きたてのラパを口いっぱいに頬張り、幸せいっぱいの笑顔だ。
「ありがとう、チキュさん。
そんな風に喜んでくれると、作った甲斐があるわ」
タキが嬉しそうに笑った。
セカイも、隣にぺったりくっついて座るニコから甲斐甲斐しく給仕されながら、「おいしい」などと小声で呟き、もぐもぐと口を動かしていた。



