「うーん、今日もいいお天気だっ!」




ーーールルティア。



ここは、〈地の一族〉と呼ばれる人種が住む【地国】の、東部の大半を占める広大な平野である。





そのルルティアにある大きな町の外れの、小さな家。



そこで、三人の親子が小さな食堂を営んでいた。





庭に生えた樹の傍らで、少年たちが遊んでいる。



チキュとセカイの二人である。





「あっ、見てみろよセカイ!!


オレの仕掛けたこの罠!!

ちゃんと蝶々が入ってるぞ!!」



そう言って根元にしゃがみ込み、蔓籠で作った虫捕り罠の中を覗き込んで自慢気に笑っているのは、チキュである。




艶のある真っ直ぐな黒髪を、頬のあたりで短く切り揃えている。



きりりと吊り上がった俊敏そうな眉の下には、密度の濃い睫毛に縁取られた黒々とした杏形の瞳がくっきりと輝く。



半袖の上着に、丈の短いズボンを履き、さらけ出された肢体は小柄ながら伸びやかで健康的だ。




首元には、真紅に染められた生糸で織られた太い首飾りを着けており、その赤が活発そうな印象をさらに深めていた。





いかにも陽気で明朗そうな子だ。