天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

そこへ、トーキ爺の娘のタキが、洗濯を終えて帰って来た。



見慣れぬ客人に目を丸くはしたものの、人当たりの良い笑顔でにこにこ笑いながら、夕食の準備にとりかかった。




トーキ爺の妻は、数年前に病気で亡くなってしまい、今は家事全般を娘のタキが担っている。



タキは結婚して夫と娘と暮らしていたが、母が亡くなると、一人になった老父の生活を心配し、家族を連れて実家に戻って来たのだ。


夫は今、遠方へ商いに出ていて不在である。



タキの一人娘ニコは、母と共に洗濯から戻ると、一目散に客人達に駆け寄った。




「わー!! おじいちゃん!!

この人たちは一体だぁれ!?」




大きな目をさらに丸く見開き、特にセカイを上から下まで眺める。




「………ニコ、こんな綺麗な人、見たことない………」




手を組み、ほぅっと溜息を吐く。


そしてセカイの周りをぐるぐる廻り、星の浮かんでいそうなキラキラした瞳でその顔を覗き込む。




「うわぁ、瞳が紫色よ、お母さん!

そんなの見たことある?


髪の毛もすごく綺麗な色!

陽が当たると透き通った金色だわ!!」




ニコは母親の方を振り返って、セカイを指差した。



「これ、ニコ! はしたない!

お客様に迷惑よ、やめなさい」



タキに窘められるが、昂奮が収まらないようだ。



ぼうっと窓の外を眺めていたセカイも、纏わり付く子どもに気づき、さすがにマイペースを崩されて辟易している。