天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「いいぞ、乗せてやらぁ。

今日はどうせ泊まってくだろ?

明日の朝市に連れてってやるよ」



トーキ爺が言うと、チキュは「よっしゃ!」とガッツポーズをした。




「この舟はなぁ、俺が結婚したときに自分で作ったんだ」



「えぇっ!?」



「一番近くの林まで、丸一日かけて歩いて行ってな、その林で一番良い木を切ってきて、十日もかけて作ったんだぞ。


そんじょそこらの舟とは違う!

毎日毎日しっかり手入れしてるからな、何十年たった今でもちゃんと仕事してくれる。


俺の大事な相棒だ!!」




トーキ爺が愛舟に目を遣り、自慢気に語る。


それをチキュは前のめりになって聞いていた。



「うーん、惚れたぜ爺さん!!

これぞ男の仕事、男の人生だな!


自分で作った舟で仕事して、自分の家族を支えてるんだな!!

かっこいーぞ!!」




聞いている方が照れてしまいそうな褒め言葉だが、そこに嘘偽りも誇張もないと誰にでも分かる。



だから、誰もが心を許してしまうのだ。




あまりにも素早い馴染みように、ウチューは思わず溜息を吐いてしまった。



相変わらず、すぐに他人に取り入ってしまう。


しかも、本人には全くそんなつもりはないのだから、脱帽だ。



(俺が初めてトーキ爺に会った時は、一週間近く警戒されてたのに……)



先程までの険しい表情はどこへやら、トーキ爺は初対面のチキュと肩を組み合って笑っていた。