天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

トーキ爺は笑いながら「ま、入れや」と言って、旅疲れの隠し切れない三人を招き入れた。





河辺に建てられた木造の家は、中に入ると思いのほか広々としている。





トーキ爺は、台所になっているらしい奥の部屋へ行き、客人へ出すお茶の用意を始めた。



チキュは興味深々といった様子で、家中を見回す。




「おいチキュ。

ひとんちをじろじろ見るもんじゃない!」




ウチューに窘められ、「わかってるって」などと言いながらも、視線がきょろきょろと落ち着かない。




「トーキ爺、すみません。

こいつほんと落ち着きがなくて…」




奥の部屋から、人数分のお茶を持って出てきたトーキ爺にウチューが謝るが、トーキ爺はこの天真爛漫な少年を気に入ったようで、「まぁいいさ」と笑っている。




その横で、セカイは我関せずといった様子でぼんやり座り、窓の外を眺めながら、出されたお茶を時々啜っていた。





河に面した壁には戸口があり、今日は天気が良いので開かれていた。



河底に立てられた、家を支える太い杭に、小さな舟が括り付けられているのが見えた。



チキュはそれを見つけて、早速目を輝かせた。




「なぁ爺さん!」



「なんだい」



「これが河の民の舟!?


かっこいーなあ!!

すっげーしっかりした造り!


しかもつやつや光ってる!!

ちゃんと磨いてあるんだなぁ」




チキュは衒いもなく褒め称えた。


トーキ爺も満更ではなさそうだ。



「この舟に売りもん乗せて、河の上で商売するんだって?


すげぇなぁ、いーなぁ。

なぁ、オレも乗せてくれよ!」



相変わらず図々しいお願いだが、トーキ爺は嬉しそうに頷いた。