天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

樹々の葉を揺らす春風の吹く音が、窓の外から聞こえる。




セカイは黙ったまま、安心しきったように眠るチキュを見つめた。


つられたようにウチューも視線を移す。





夜明けが近付いている。


早くも起き出して活動を始めた人々の、生活の気配が感じられた。




ウチューがそれ以上は語るつもりがないのを感じ取り、セカイが静かな声で再び口を開いた。


視線はチキュの寝顔に留めたままだ。



「……ウチューが言うつもりのないことを、無理に聞き出すつもりはないよ」


「……ああ」


僅かに安堵の滲む声で、ウチューが小さく答えた。


「そうしてくれるとありがたいよ」