天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「……そうか」



ウチューはセカイの視線から逃れるように、煙草にぽっと火を点ける。


そしち、チキュの寝顔に目を向けた。



ふぅ、と煙を吐き出す。




「やっぱり、変だったか」



「……うん。


あまりにも急だったし。

すごくばたばたしてたから」



「ああ……」



「チキュが気付くくらいだからね、相当だよ」



セカイは、目を逸らさない。




「………ねぇ、ウチュー。


僕たちは、ずっと旅を続けてきたよね」



確かめるように言葉を区切りながら話す。



「なんで、一つの所に住み続けないの?


それは、ただのウチューの気紛れではないでしょう?」



真っ直ぐな眼差しと、真っ直ぐな言葉。



ターバンを外した、頭髪のない滑らかな頭に、ウチューは手を当てた。



「うーん。セカイ。


相変わらず直球だなぁ………」


困ったように眉間に皺を寄せる。




気持ちを落ち着かせるように、一口果実酒を飲み込んだ。




セカイは、その睫毛のない一重瞼を、じいっと見つめていた。



ウチューはそれ以上なにも言わない。