天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

ウチューとセカイは、共同浴場で簡単に汗と埃を落とし、部屋に戻った。




チキュは相変わらず、口と目を半開きにして眠っている。



赤い首飾りが、深い呼吸に合わせてゆっくりと動いていた。




毛布を足で蹴ってしまったのか、腹が丸出しだ。





「……ほんとに、世話をかけるのを忘れないなぁ」



セカイは独りごちながら、寝具をしっかりと掛け直してやった。



ウチューは何だかわくわくした様子で、荷物を漁っている。



「ウチュー、何してるの?」


「んん? ちょっと探し物………。

あっ、あったあった!」



自慢気に取り出したのは、酒瓶らしい。



「………お酒?」


「おう。どうだ、たまには二人で」



セカイは怪訝そうな表情だったが、黙ってチキュの隣の寝台に座った。



ウチューが、布に包んであったグラスを解いて取り出した。


こぽこぽと瓶から果実酒を注ぐ。



グラスの一つをセカイに手渡した。



「乾杯!」



真紅に光る液体が揺れるグラスをカチリと軽く触れ合わせてから、口に含んだ。