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「………ま、分かってはいたけどな」
ウチューが呆れ顔で、チキュの身体に薄い毛布を掛ける。
まだ歩ける、などと言っていたチキュだったが、宿の部屋に入って荷物を下ろした瞬間に寝台に倒れこみ、もう寝息を立てていた。
「………お風呂、まだ入ってないのに。
寝る前のおやつも食べないってことは、相当つかれてたんだね」
幼児みたいなチキュの寝顔を見ながら、セカイが呟く。
「だろうなぁ。
帰ってきてすぐにばたばた荷造りして、飯食ってすぐ出発だったしな。
セカイ、お前は疲れてないか?」
そう尋ねられて、首を傾げながら、うーんと考える。
「………それほどではないかな」
「お前、見た目の割に体力あるよなぁ」
「……そうかな」
と言ってまた小首を傾げる。
ウチューは、座り込んで下ろした荷物を整理し、差し当たって必要になりそうなものを並べながら、セカイを見上げた。
「チキュよりもずっと歩けるだろ」
「ええと、それは、チキュが歩きながら無駄なエネルギーを使うのを忘れないからだよ」
「ははっ、確かに!
ここまでもずーっと喋ってたもんな」
「喋るか食べるか、何かを見つけて走り出すかだよね」
「そうかぁ、あいつはアホみたいに無駄な行動が多いから、すぐ疲れるんだな」
などと、けっこうひどいことを言われているのだが、チキュは幸せそうに夢の中だ。



