天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether








「………ま、分かってはいたけどな」




ウチューが呆れ顔で、チキュの身体に薄い毛布を掛ける。




まだ歩ける、などと言っていたチキュだったが、宿の部屋に入って荷物を下ろした瞬間に寝台に倒れこみ、もう寝息を立てていた。




「………お風呂、まだ入ってないのに。


寝る前のおやつも食べないってことは、相当つかれてたんだね」



幼児みたいなチキュの寝顔を見ながら、セカイが呟く。



「だろうなぁ。

帰ってきてすぐにばたばた荷造りして、飯食ってすぐ出発だったしな。


セカイ、お前は疲れてないか?」



そう尋ねられて、首を傾げながら、うーんと考える。



「………それほどではないかな」


「お前、見た目の割に体力あるよなぁ」


「……そうかな」



と言ってまた小首を傾げる。



ウチューは、座り込んで下ろした荷物を整理し、差し当たって必要になりそうなものを並べながら、セカイを見上げた。



「チキュよりもずっと歩けるだろ」


「ええと、それは、チキュが歩きながら無駄なエネルギーを使うのを忘れないからだよ」


「ははっ、確かに!

ここまでもずーっと喋ってたもんな」


「喋るか食べるか、何かを見つけて走り出すかだよね」


「そうかぁ、あいつはアホみたいに無駄な行動が多いから、すぐ疲れるんだな」



などと、けっこうひどいことを言われているのだが、チキュは幸せそうに夢の中だ。