天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「……あのさ、セカイ。

オレたち、なんでこんなに引越ばっかりしてると思う?」



徐ろに、チキュが口を開いた。



セカイは少し考え込んだように首を傾げてから、呟くように答えた。



「………それは、ウチューがその土地に飽きて、引越そうって言うから」



最もな答えを言うが、チキュは納得していない様子だ。



「オレも、今まではそう思ってたんだけどさ。

なんか今回の引越は、余りにもおかしくないか?」



チキュがセカイの目をじっと見つめながら言う。



「……そうかな。例えばどんな所が?」



「うん、そりゃさ、急に言い出すのはいつものことだけどさ。

でも、『今夜のうちに』なんてことは、今までなかったよな?


それに、店の片付けも後回しなんて。


なんだか、すごく慌ててるような、急いでるような感じがする」



チキュの鋭い洞察に、セカイも考え込んでしまう。



「……うん。そうだね。

まるで、何かから逃げてるみたいだ」


「だろ? オレもそう思ったんだ。

一体、ウチューは、何を……考えてるんだろう」