天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

支度を終えた後、ウチューは旅に必要な物を揃えてくると言って、大通りへ買い物に出た。



チキュとセカイは、とりあえず出発までの間に骨休めをしておこうと、食堂へと移動した。




セカイが厨房でお茶を淹れて持ってくると、カウンターに座っていたチキュは、珍しく物思わし気に頬杖をついていた。



セカイは隣に腰を下ろし、お茶の入ったカップを盆からチキュの前に置いた。



「はい、チキュ、お茶」


「……あ、あぁ。ありがと」



我に返ったようにチキュが言う。


そのまま黙ってお茶を飲んだ。



窓から入ってくる夜風に、チキュの髪がさらさらと靡いていた。




「……ねぇ、チキュ。

なんか、考え事してる?」



セカイがぽつりと尋ねる。



「え? うん……まぁね、ちょっと」


「珍しいね。チキュが頭を使うなんて」



セカイが真面目くさった顔で言うので、チキュは顔を顰めてセカイの肩を軽く突ついた。



「あのなぁ、いくらオレだって、考え事くらいするんだよ。

失礼だなぁ」


「そう? あんまり記憶にないけど……」



セカイは少し微笑んで、チキュの肩を突つき返す。



「それで、何を考えてたの?」



セカイが尋ねるが、「うーん……」と歯切れが悪い。



セカイは特に問い詰めることもせず、カップを両手で握り締めたまま黙って座っていた。