天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

ミカゲは自分なりに、昨今の政治事情などを考えてみる。



(ソガノ家と言えば、私たちが生まれる前には随分と栄えていたって聞くけど)



時おり小耳に挟む噂話を思い返す。



(今は太政大臣も左右大臣も、納言の位に至るまで、フジハ家が占拠してるわ。


最近はフジハの天下って感じよね)



そう言うミカゲの母も、クオンとアスカの母も、フジハ家の出である。


母方の血筋を重んじる天貴人にとって、それは何を意味しているか。



このままであれば、皇室との関係はますますフジハ家が独占し、ソガノ家の権勢は弱っていく一方だろう。



(それでソガノの首長であるムラノは、何とかこの劣勢を挽回しようと考えて、何か良から事を企んでいる…)




ミカゲの元には、そのような生臭い権力争いや政治関係の話など一切入って来ていない。


だが、生来の洞察力と好奇心、頭の回転の速さを駆使して、ミカゲなりの結論を出した。



有り得そうな筋書きである。




(それで、次代の最高権力者である皇太子殿下に、直談判しに来たってわけね)



クオンと向かい合うムラノ参議の表情には、いかにも陰謀を隠し持っていそうな卑しさが感じられた。