そこで、ムラノ参議はクオンの顔の前に手を上げて、制した。
「………殿下」
じとりとクオンの深黒の瞳を見つめる。
「……僭越ながら……。
この話はーーー我が娘ハツノを側室に、という話は、殿下にとっても悪くないものだと存じております」
「………どういう意味でしょうか」
クオンは訝しげに眉根を寄せ、軽く睨みつけるように、ムラノ参議へと視線を落とす。
「まず、我らが天国の皇室におきましては、皇子の方々が妃として正室のみならず、側室もお娶りになるのは至極当然の、通例に則ったことでございます」
「…………」
クオンは黙って答えなかった。
「先皇さまもご側室として五人の姫君をお迎えになっておりましたし、現皇も皇后ユウハさまの他に、三人のご側室をお持ちでございます。
先の皇太子であられた、現皇の兄君正宮さまも、ご正室のアサハさまの他に、複数のご側室をお娶りになる予定がございました。
残念ながら、若くしてお亡くなりになってしまい、実現いたしませんでしたが………」
そのようなことは、皇子であるクオンは勿論知っていた。
「このように、皇室の嫡子の御方々は、ご側室をお迎えになるのが慣例でございます。
それは、もし万が一、ご正室の御方からお世継ぎがお生まれにならなかった場合、世の乱れの原因となってしまうからでございます」
「………殿下」
じとりとクオンの深黒の瞳を見つめる。
「……僭越ながら……。
この話はーーー我が娘ハツノを側室に、という話は、殿下にとっても悪くないものだと存じております」
「………どういう意味でしょうか」
クオンは訝しげに眉根を寄せ、軽く睨みつけるように、ムラノ参議へと視線を落とす。
「まず、我らが天国の皇室におきましては、皇子の方々が妃として正室のみならず、側室もお娶りになるのは至極当然の、通例に則ったことでございます」
「…………」
クオンは黙って答えなかった。
「先皇さまもご側室として五人の姫君をお迎えになっておりましたし、現皇も皇后ユウハさまの他に、三人のご側室をお持ちでございます。
先の皇太子であられた、現皇の兄君正宮さまも、ご正室のアサハさまの他に、複数のご側室をお娶りになる予定がございました。
残念ながら、若くしてお亡くなりになってしまい、実現いたしませんでしたが………」
そのようなことは、皇子であるクオンは勿論知っていた。
「このように、皇室の嫡子の御方々は、ご側室をお迎えになるのが慣例でございます。
それは、もし万が一、ご正室の御方からお世継ぎがお生まれにならなかった場合、世の乱れの原因となってしまうからでございます」



