天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「実はその我が娘ハツノをですね……」



ムラノの笑みがさらに深くなる。





「ーーーハツノを、是非に、是非に、殿下の妃として娶っていただきたいのです」










「………は?」



余りにも予想の範囲を超える内容であったため、クオンは、らしくもなく口を開いたまま動きを止めてしまう。



それを横目に、ムラノ参議は続けた。



「いえ、殿下は驚かれるでしょうがね。


私としては、これは長年、いやハツノが生まれた時からずっと、考え続けてきたことなのです」




「……ええと、失礼ですが、ムラノ殿。


話が全く見えないのですが…」




クオンはとりあえず片手を挙げ、参議の言葉を遮る。




「と、言うか……。

なぜ今、そのような話を?


もちろん御存知のはずでしょうが、私は昨日、光宮との婚約を発表したばかりなのですが。

あなたも先ほど自ら祝いの言葉を…」



「ええ、ええ。

もちろん存じ上げておりますとも。


ですので、ハツノはまずは側室で結構でございます。

是非、お迎え下さいませ。


こちらの準備は、既に万事整っておりますゆえ、殿下のご指図さえあれば、いつでも………」




クオンは堪りかねたように声を上げた。



「……ちょっと、待ってください。


私は、側室を迎える気など、毛頭ありません。


光宮一人のみを妃とする所存です。

父皇にも、御了承いただいています。


折角ですが、その話は………」