天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether









灯りの差し込まない、暗い部屋。





そこで、深々と肘掛け椅子に凭れる男。



眉間には、深く険しく刻まれた皺。





長く伸ばした髭を左手で弄りながら、部下の報告を聞いている。





「ーーーそのようなわけで。


住む人間が少なく、人目を避けるには最適と考えられる北方を中心に、現在は捜索隊を……」





「………御託は要らぬ」




地の底から沸き上がってくるような低い声が耳に届き、その不機嫌そうな響きに部下はびくりと肩を竦めた。